大判例

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東京高等裁判所 昭和46(行コ)25 行政事件裁判例

○ 主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

○ 事実

控訴代理人は「原判決を取消す。被控訴人が控訴人らに対し昭和四一年五月二日付

をもつてした相続税の更正処分(但し裁決によつて一部取消された)のうち課税財

産価額が各控訴人につきそれぞれ別表請求額欄記載の金額を越える部分及び同日付

でした過少申告加算税賦課処分を取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負

担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張ならびに証拠の関係は、控訴人らにおいて原判決添付別

表(課税財産価額)A、Bの各請求額を二、一八〇、八九〇円、一、八一一、八九

〇円と訂正すると述べたほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用す

る。

○ 理由

一 当裁判所も本件各更正処分および各加算税賦課処分は正当であつて本訴請求は

理由がないものと判断するものであるが、その理由は以下に付加するほか原判決の

理由と同一であるからこれを引用する。但し原判決一九枚目表二行目の数式のうち

8とあるのは0、08の、同二〇枚目裏六行目の数式のうち8および1とあるの

は、0、08および0、01の、同七行目の数式のうち8とあるのは1、07の、

それぞれ誤記と認めてこれを訂正する。

二 原判決一七枚目表末行の前につぎの一項を挿入する。

もつとも、右契約内容の経済的効果を達成するためには通常被控訴人が主張するよ

うな取引形式を選択することが多いであろうから、CがDとの間に前記認定のよう

な内容の契約を締結したのはいささか異状であつて、そこに何らかの、おそらくは

租税(当時の不動産所得税)負担の回避ないし軽減の意図がうかがえないでもな

い。はたして然らば右は一種の租税回避行為というべきであるが、同族会社の行為

計算の否認(法人税法一三二条、所得税法一五七条、相続税法六四条)のほか一般

的に租税回避の否認を認める規定のないわが税法においては、租税法律主義の原則

から右租税回避行為を否認して、通常の取引形式を選択しこれに課税することは許

されないところというべきである。

三 なお、金銭債務が低利である場合には債務者が現実に支払う金利を通常の利率

によつて除して得られる金額に相当する元本額は、その債務額として評価すべきで

あり、この額を控除した残額について通常利率によつて算出される中間利息を控除

して評価し両評価額を合算した額をもつて債務の評価額とすべきであるとの議論が

あるが、前叙のとおり、低利である場合には、低利であることによつて通常の利率

による利息相当額の経済的利益から現実に支払う低利率による利息を控除した差額

をなお経済的利益として享受し得るのであつて、これを本件についてみるに、控訴

人らは通常の利率による利息相当額、すなわち

129、000、000×0.08=10、320、000

一、〇三二万円から現実に支払う利息を控除した額、すなわち

10、320、000-(129、000、000×0.01)=9、030、0

00

九〇三万円相当の経済的利益を毎年享受し得るのであるから、債務の元本から低利

のため評価時以降弁済期までに生ずべき債務者の経済的利益すなわち通常の利率と

現実に支払う利率との差によつて算出される中間利息を控除した残額をもつて現在

の評価額とするのが相当であること勿論というべく、先の所説は右の経済的利益の

享受を看過した議論であつて失当である。

四 してみれば、原判決は相当であつて本件控訴は理由がないからこれを棄却する

こととし、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり

判決する。

(裁判官 菅野啓蔵 渡辺忠之 中平健吉)

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